「シティセールス」という考え方。
別に今に始まったことではありませんが、各自治体では「シティセールス基本計画」を策定しているところが多くなってきています。検索していただくとわかりますが、
・仙台市シティセールス情報館
・川崎市のシティセールス戦略プラン
・千葉市シティセースル推進室
・郡山市シティセールス基本方針
などを見つけることができるかと思います。
日本全国に約1,700の自治体がありますが、そのほとんどが、今、同じ課題を抱えています。それはどの自治体の選挙においても、「少子高齢化」「人口減の阻止」「産業の育成」「教育・福祉」が争点になっていることからもわかります。このような状況を踏まえると、極端に言ってしまえば、「地方は自分の力で稼いでいかないといけない」ということなるのだと思います。地域の魅力を高め、多くの人(特に若い人)が住み、多くの人が外部から訪れ、地元産業によって外部からお金が入ってくる、と、そういうことを目指そうと。このように書くと、"のん気" な感じがしてしまいますが、これから人口が減少していく日本を考えると、これは完全に、地域による争奪戦です。
ちなみに、シティセールスの考え方が重要だと、私が思う理由は、この2つ。
・「セールス」という切り口によって、自身の地域や暮らしを「外から」見る視線が生まれること。
・自立してやっていくという、地方における「意気込みと責任感」。
シティセールスにとって、Webの活用はものすごく重要。
地域による争奪戦である「シティセールス」は、「自分のところはこれが魅力!これなら負けない!」ということを広く知ってもらう必要があります。ただし、これまでと違うのは、観光誘致や物産販売、産業誘致とは異なり、暮らしのあらゆる面で行われるということ。例えば、「子育てするなら、日本で一番ここがいいんだよ!」ということでも「老後に田舎で暮らすならここが一番いいんだよ!」ということでもいいのです。それによって、人が移り住んでくれることは、過疎化に悩む地域にとっては大変ありがたいのですから。
これら、あらゆる面での魅力を発信し、興味ある方々とコミュニケーションしていくのに Webの活用が重要になることは、多くの方が想像できるかと思います。地域の情報を、テレビや新聞などを利用して全国に伝えるためには、ものすごいコストがかかる上に、伝えられるメッセージや情報は非常に限られてしまいます。しかし、Webを活用するのであれば、あらゆる分野の方々に興味ある情報を個別に伝えてコミュニケーションしていくことができます。しかも、Webの活用は、自治体の規模(=歳入規模)に左右されるものではなく、地方のどんな小さい町や村でも取り組むことができます。その活用方法やアイデアさえ飛びぬけていれば、どこにも負けないものができてしまうという、地方にとって非常にメリットのあるメディアだと言えます。
逆な言い方をすれば、そこに注力しないがために、完全に取り残されてしまう可能性もあるということ。また、Webやネットの世界は、接続した瞬間に地域差がまったく関係ないので、これまで競合しなかった別な地域が競合として現れてくる可能性もあります。例えば、これまでテレビや新聞で宣伝していた場合、中国地方は中国地方内で、東北地方は東北地方内に限定して宣伝していたかと思いますが、ネットになった瞬間に地域差がなくなり、地域による棲み分けが崩れてしまうということです。
逆に言えば、マーケティング的には、そこがメリットでもあります。これまで比較的ご縁のなかった遠くの地域が、新たなターゲットに入ってくるのですから…。
シティセールスによる本格的なWebの活用はまだまだ始まったばかりです。
残念ながら、まだ、これまでの観光PRやイベント情報の延長を抜け出せないでいるところが多いのが実情です。Web活用のノウハウを持って、予算と人材を当てている自治体がそうそうあるわけではないので当然ではありますが、逆な見方をすると、先行した者に圧倒的なメリットがあるネットの世界、今こそものすごいチャンスのようにも思います。
次回をお楽しみに♪
■補足
シティセールスにおけるWeb活用のポイントは、
・何を魅力とするか、何を日本一とするか。
・それをどんな切り口で表現するか。
・どんなネットサービスを提供できるか。
・ファンをどう育てるか。
というあたりにあるように思います。
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