地方中小企業がSNSで陥りがちな罠と、本当に大切なこと

中小企業のSNS苦労話 - 理解されていない真の価値

地方中小企業や個人事業主の方々をサポートする中で、最近、ある考えに陥っている方が多いことに気づきます。それは、SNSの利用や情報発信に深い苦労を抱えているということです。彼らはしばしば、「どうすればバズるのか」「美しい写真や映像を投稿しなければ」という圧力に翻弄され、周囲のSNSの投稿内容がどんどん高度化していく流れについていけなくなったり、自分たちもそのようにしないといけないのだ…と思ってしまっています。

少し前、ticktok がまだダンス動画がたくさんアップされていた時に、「自分たちは踊れないよなぁ…」と感じていたのに似ています。

忘れてはいけないのが、自社のストーリーや価値をどのように伝えるかに注力すること。
SNSの真の価値は、単にフォロワーを増やすことやバズることではなく、「自社の独自性」を「伝えるべき人に」どのように伝え、共感を得るかにあります。顧客に対して、自社の商品やサービスがどのように彼らの問題を解決し、生活を豊かにするかを伝えることが重要です。派手なビジュアルよりも、信頼できる情報や共感できるその会社やお店だけの物語・特徴を丁寧に伝えていくというとこです。そこがブレてしまうと、いわゆる "よりクリエイティブが高い動画" に引け目を感じ、情報を発信することすら躊躇してしまいます。

時代の変化と情報発信の根本的価値

"よりクリエイティブが高い動画" に引け目を感じ情報を発信することを躊躇してしまっている方に対しては、私はいつも次のような話をします。

現代のインターネットとSNSがもたらす情報発信の可能性は、中小企業にとって大きな大きな可能性をもたらしてくれています。例えば、インターネット以前の時代、皆さんの商品やサービスをお客様に知ってもらおうとした場合、どのような手段があったでしょうか？全国各地を営業マンが走り回って自社のサービスを必要とする人を探してきたかもしれませんし、広告という形で全国に伝えていたかもしれません。いずれにしてもこれは、そこに膨大な費用をかけられる大企業のみが出来たことです。中小企業や個人事業主は、自分の商圏内で、規模を小さくして同じことをしていたことでしょう。

それがインターネットによって日本中・世界中に情報を「無料で」届けられることができるようになったことで、会社の規模に関係なく（山奥の小さなお店であったとしても）、日本全国のお客様と出会うことができるようになりました。例えば、地方の小さな町に万年筆の専門店があったとします。物理的な商圏からしたら、その町でその万年筆に興味を持つ人や購入する人は一人か二人なのかもしれませんので、インターネット以前であれば（一般的な文房具店という形以外では）そもそも商売として成り立たなかった可能性があります。しかしインターネットが利用できる現在は、その小さな町にいながらにして、全国各地にいる万年筆の愛好家1万人を相手にすることが可能になるのです。もっとと言えば、世界各地にいる何百万人の愛好家を相手にすらできるのです。

しかも、これに加えて、誰でも簡単に利用できる SNS というメディアを我々は利用することがき、そこに情報を出せば、その情報に興味ある方とつながり、情報を継続して提供できる環境が整っています。その環境をインターネット以前と比べたらどんなにすごいことなのかをもう一度考えてみてほしい。どんなにスゴイ可能性ある環境の中に我々がいるのかを改めて認識してほしい。

このようにお伝えします。

少し補足すると、これは、SNSに対する考え方の次元を変えているということになります。
どうすればバズるのか…やいいイメージを投稿しないと…いうのは「現場の目線」、今、私がご説明したのは「経営者の視点」。見ている次元が違います。
ひとつ、ふたつ上の次元から見てみると、今自分が置かれている状況や目指すべきことが改めて認識できます。

「なんかうまく行かないなぁ…」と磁石に吸い寄せられるように弱気になったり、情報発信をためらってしまう方には、今自分自身が、ものすごい可能性ある環境にいること、ものすごいチャンスの中にいることを改めて感じていただきたいと思います。

地方中小企業がSNSで陥りがちな罠と、本当に大切なこと

自分を信じ、時代の恩恵を活かす

情報発信やお客様に情報を届けるという点において、私たちは今、地かつてないほどの幸せな時代に生きています。インターネットとSNSのおかげで、自社の商品やサービスを日本中、いや世界中の潜在的な顧客に届けることが可能になりました。この変化は、単にバズることや派手な映像を投稿するという小手先の話以上の深い意味を持っています。

本当に大切なのは、自社の商品やサービスの特徴を、日本全国・世界各地にいるお客様に対して丁寧に伝えることです。この記事を読んでいるほとんどの方は、投稿の閲覧数に応じて広告費を得るいわゆるユーチューバーのようなビジネスをされているわけではありません。すでに手元にある商品やサービスを必要として愛してくださる方と出会うために SNS や情報発信をしているはずです。丁寧に伝えていくことは華やかなSNSの投稿とは一線を画し、継続的かつ真摯な情報提供が必要になりますが、自社の価値をしっかりと伝え、顧客との信頼関係を築くことが、成功への鍵となります。

そもそも、我々中小企業にとって、何万、何十万の大規模な顧客層が必要なわけではありません。お客様の数は意外と、全国にいる数百人だったりします。重要なのは、大量のフォロワーを追い求めるのではなく、自社の商品やサービスを真に求めているそのお客様と出会うことです。

今、この時代に、我々がインターネットとSNSを使えること自体がものすごい大きなこと。この根本を改めて認識した上で、この恩恵を活かし、自社の価値を自信を持って伝えていくことがポイントです。自分のビジネスを信じ、顧客に真摯に向き合う姿勢が、新しい時代のビジネスチャンスを掴む鍵となります。

次回をお楽しみに！