高知大学 地域連携推進センター様が主催する「こうち観光カレッジ」 にて、「ネット活用戦略」と題して、観光に関する情報発信・ネット活用について講義&ワークショップをさせていただきました。
まず、「こうち観光カレッジ」について紹介しないといけません。
こうち観光カレッジ とは
「こうち観光カレッジ」は、高知大学 地域連携推進センターが主催する、高知県の地域資源を県外・海外へと展開していくような、将来の観光の中核となる担い手を育成する「観光人材の育成」プログラムです。
「座学」の他に「観光地域づくり」の現場研修もあったりと数か月間にわたり「観光地域づくり」について学ぶ講座になっています。
最初の開講式では、観光庁の観光戦略もサポートされている山田桂一郎さんによる講演に始まり、
- 講義「インバウンド」
- 講義「地域学」
- 講義「観光地域づくり体制構築・DMO / DMC」
- 講義「ファシリテーション・リーダーシップ」
- 講義「ネット活用戦略」
- 講義「観光地域デザイン」
- 講義「観光地域ブランディング」
- 講義「ケースメソッド」
- 観光企画ブラッシュアップ
- 観光地域づくり現場実習
と、むしろ私が勉強したい事柄がいっぱいの育成プログラムです。
「こうち観光カレッジ」に参加されているのは、高知県内で観光や地域づくりに携わる行政の方や民間企業の方、移住施策に携わる方、また自分の地域や村を何とかしたいと活動されている方々など、本当に地域を愛し、地域の未来を何とかしようと日々頑張っていらっしゃる方々ばかりでした。
今回、私は「ネット活用戦略」 の講義とワークショップを担当させていただきました。
※文章に「観光地域づくり」「DMO」という言葉が登場してきますが、これらにつきましては、私の別なブロクに詳しく紹介してありますのでそちらをご覧ください。
お話しさせていただいた概要は以下の通りです。
(講義2時間、WS1時間)
1.地方のネット活用 基本の「き」
どのセミナーでも必ずお話しさせていただくのがこの話。
「そもそも地方がネットを活用するってどういうこと…?」という話です。
地方でネットを利用する我々にとっては本当に大切な事なのですが、ほとんどの方がこのことを考えてみたことはないようで、セミナー後のアンケートでも「た、確かにそうだ!」と目の鱗が落ちる方がたくさんいらっしゃいます。
どうしてそんな大切なことに気づかないのかというと、それは「ネット利用の錯覚」に陥っているから。残念なことに、それが原因でネット活用の可能性をそぎ落としてしまっているいう現実があります。
ということで、どうしてそういう錯覚に陥ってしまうのか…という説明をさせていただきながら、基本の「き」をご紹介させていただきました。
私は毎回、「ここを理解しないと先に進めませんよ!」とお伝えしています。
「第一歩を東に踏み出すのか、西に踏み出すのか」ぐらいの大きな違いが生れますよ~と。
実際、この基本的なことに気づいてしまった人は、かなり意識がかわります。
と言いますか、目の色が変わるんです…。
2.小さい町の観光サイトの作り方
講義のメインのお話は、「小さい町の観光サイトの作り方」という内容です。
ひと口に「観光の情報発信」と言っても、実は大きく4つの立場があります。
- 企業や事業者
- DMO
- 観光サイト(行政や協会)
- 自治体サイト
これらは立場や方式によってできることやできないこと、得意な事や不得意な事があったりしますので、観光という括りではありますが、ネットの活用という点では厳密には違うやり方が必要になります。
例えば行政と旅館とでは出す情報もお客様との関わり方も違ってきますから、当然といえば当然です…。
ということで今回は、色々な立場の方がいらっしゃいますので、少し幅を広く取って「小さい町の観光サイト」という切り口で話を進めさせてきただきました。
「観光サイトの作り方」という話の建てつけではありますが、観光サイトに関わりのない方には関係ない話ではありません。話の流れとしては観光サイトですが、実際にお話しした内容は、地方の魅力をどうやってネットを活用して伝えていくのか、ということに他なりません。(実はこれ、中小企業の情報発信の手法でもあるのです…)
具体的な作り方というよりも、「情報の発信の考え方」であったり、「ネットメディアの分類」であったり、「SNSの考え方」であったりと、「大きな考え方」を中心とした内容です。
話の内容は、このサイトでも「小さい町の観光サイトの作り方」として紹介しています。
(まだ書きかけでした...)
例えば、高知県にある有名な場所「佐田沈下橋」がホームページでどのように紹介されているかを見ていきました。
サイトに掲載する立場からするとどういう表現になるのかを見ながら、私が沈下橋を見た時の体験であったり、参加されている皆さんが(高知県人として)知ってもらいたい沈下橋の魅力と比べるとそれはどう違うのか、どうして違ってくるのかなどを見ていきました。
これらを踏まえて、小さい町(地方)ではどういう戦略と考え方で情報を出していくことができるのかを紹介しました。
さらに、その地にいらした方はSNSを通じて情報を発信していること、それを色々な角度から活用することができるということも紹介しました。
3.WEBサイトの改善策を考えて見る
講義の後、実際の観光事業のサイト題材にして、どのように改善したらいいのかを考えるワークショップを行いました。
4つのグループに分かれて、各グループごとに「感じたこと」「改善すべきこと」などを議論していたき、発表していただきました。
同じWEBサイトを題材にしているのですが、各グループごとに視点が少しずつ違っていて色々な切り口がある発表になりました。また、実際に観光事業の現場で活動されている方々ばかりですので、非常に的を得た指摘も数多く見られました。
かなりのボリュームの3時間でした。
私はお話しさせていただく時、今日明日役立つ10個のことよりも、数年後も役立つような1つのことをお伝えした方がいいのではないかという思いでお話ししています。今回もボリュームはたくさんありますし色々な切り口の話になっていますが、お話しした基本は本当に簡単なことです。それは、
- 地方はネットというスゴイものを手に入れている
- 僕たちの何気ない日常は、観光にいらっしゃる方にとっては特別な体験♪
という、2つに尽きます。
今回もこのことを繰り返しお話しさせていただきました。
高知県の観光の未来を背負う皆さんの情報発信に、少しでもお役に立つものになっていれば幸いです。ありがとうございました。
終了後、皆さんにご記入いただいたアンケートからいくつか紹介したいと思います。
たくさん書いていただきましてありがとうございます!
あまりにたくさんなので、一部だけでごめんなさい。
【参考になったこと】
- 発想の転換。見つけてもらうは非常に驚いた。正にその通りだと感じました。
- 地方ならではの、地方ということを利点に考えた情報の出し方。
- ネットを活用した情報発信について以前から学びたかったので、今日はとてもいい勉強になりました。
情報発信側と見る側とで認識の違い。自分も調べる時には無意識に行っていたこと感じていることが、発信側になると見えなくなるので改めて気を付けたいと思いました。 - SNSなど、何気に見ていることが多かったのですが、来てくれた人の気持ち、動きに注意して活用したいと思いました。
- 同じサイトを見ても、人の着眼点は異なり考えることも異なるということ。一つのサイトを見るにしても個人だけではなく、複数の人と考えたいと思いました。
- 小さい町だからできること。ひとつひとつが勉強になりました。目の鱗、5枚落ち。
- ひと言ひと言がとても心に落ちました。具体的なお話で、聞き漏らすまいと頑張ったが自分自身に予備知識がないので、自分がどれだけ理解できたか不安です。
- 「情報で人を動かす」「見つけてもらう」。訪れて良し、住んで良しで地域の皆が幸せになる、幸せにする。
- 小さい町・村の強み(エリア内の情報を網羅、表面だけでなく突っ込んだ知識)に注目できた事。
- 発想を逆にする事。
- 情報発信は場所は全く関係ないということ。
- 小さい町だからできること。
- お客さんが発信している情報をメディアとして使うこと。
- SNSを使ったPRの概念。
- 学んだことは当たり前のことだけど、真剣に取り組んでいなかったこと、戦略的に考えていなかったこと、色々と考えさせられた。良い機会になりました。
- ネットは世界中どこからでも場所に関係なく情報を発信できる。そのため意識的に見てもらいたい人へ届くように発信する。
- 情報は利用者が自分の興味ある分野を収集するもの目線で発信する。
- SNSの逆利用、来訪者の行動記録の情報収集、マーケティング活用。
- ネットにおける活用の仕方ややる意義、そしてメリットがとてもわかりやすく、取り組もうという気持ちになりました。
- 沈下橋のアピールの仕方
【もっと知りたいこと】
- 考え方のポイントをいただいたので、それに値するテクニックを学びたいと思いました。
- 上級の顧客フォローについて学びたいです。
- とてもわかりやすくて勉強になりました。
- またゆっくり聞きたいですし、富士見町へ行ってみたくなりました。
- ホームページの具体的な作り方。
- 情報発信の続け方(スキルや人手不足)
- 民間と行政がコラボしてPRする最適な方法
- 情報を丁寧に届けるということ。
- 海外向けのサイトPRの方法。活用の仕方。
高知大学が開催している「観光人材育成事業」につきましては、下記をご覧ください。
高知駅前では、武市半平太、坂本龍馬、中岡慎太郎の銅像が迎えてくれます。
普段、路面電車に乗ることがない自分は、路面電車に乗るのもドキドキでした…(^_^;
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