講演の内容をご紹介します。
2014年10月、横浜市シルバー人材センターにて「自治体の現場に役立つ、インターネット活用の考え方と最新動向」と題してお話しする機会をいただきました。
会場には、人材センターのスタッフの皆さまかお集まりいただきました。横浜市では、広報マインド研修会を毎年開催されており、その一環として今回お声かけいただきました。
(前回、横浜市中区で開催された広報マインド研修の様子はこちらに掲載されています)
私にとっても現場の皆様のお話を伺える大変貴重な機会でした。
本当にありがとうございました。
ネット活用についてお話しさせていただく場合、大きく分けて2つの方向性があります。1つは、より大きな視点で「戦略」を考えるもの。もう一つは、より現場目線でテキストの書き方など「具体的な作業」をどう考えるかというものです。
どちらに比重を置くのかは、ご参加いただく職員・スタッフの皆さんがどの役割を担っているによって大きく変わってくるのですが、「戦略」と「具体的な作業」とでは、「戦略」を理解しないと「具体的な作業」には落とせませんので、どうしても現場のスタッフの皆さんにも「戦略」に係る部分もある程度お話ししないといけないという事情があります。
今回お話しさせていただいた内容は、ブログに掲載している「自治体ホームページ、今後のあり方・作り方」のシリーズを土台にし、さらに最近の動向を加えた内容になりました。
簡単に概要をまとめると、大きく次の3つのテーマにわかれています。
1.自治体サイトのこれまでの流れ
2.わかりやすい自治体サイトのためのヒント
3.情報発信のためのヒント
1.自治体サイトのこれまでの流れ
まずは、これまで自治体サイトがどのような形で構築・運営・管理されてきたのかを、時系列で振り返りながら、各段階でどのような課題が発生し、どう解決されてきたのかをお話しさせていただきました。
今回はこの部分は「大きな流れ」と「今、現在の位置」をご理解いただくためにお話を端折ってご説明させていただきました。
武雄市のように、ネットを活用した情報発信や IT テクノロジーを利用した教育改革のトライアルなど積極的に進めている自治体もある一方で、「手を付けないといけない」とはわかっていても、「何をどうしていいのかわからない」状況の中にいらっしゃる自治体は多いはず。そんな中、これまで自治体サイトがどのように変化し、今どのフェーズにいて、今後どのようになっていきそうか、という「大きな流れ」を知っているかどうかは、担当される方にとっても安心して取り組めるかどうかの違いとなってくるはずです。
こちらにつきましては、2012年に横浜市でお話しさせていただきました内容と重なる部分がありますのでよろしければご覧ください。
2.わかりやすい自治体サイトのためのヒント
ユーザビリティ講座と題して、最前線で更新作業を担当される方々に向けてご説明いたしました。ただし具体的なテクニックではなく、例えば「情報への入口は複数設ける」など、考え方となる 7つのポイントに絞って考え方をお話ししました。
どうしてそういう考え方をしないといけないのかをご理解いただければ、更新作業の各場面でわかりやすさに配慮した作り方ができるかと思います。
3.情報発信のヒント
「1.自治体サイトのこれまでの流れ」に関係しますが、自治体サイトの役割はどんどん変化してきています。
数年前「シティーセールス」という言葉が色々なところで使われ始めましたが、今は全国の自治体が「住んでくれる方をいかに増やすか、来てくれる人をいかに増やすか」という視点で文字通り「シティーをセールス」する動きに軸足が動いていますし、政府もまた「地方創生」という切口で同じ領域に力を入れようとしています。
そのような中、サイトの位置づけも、「市民の皆さまに行政からの情報をお伝えする」といういわゆる従来の「自治体サイト」という領域では収まらなくなり、「情報発信力」を持ったさまざまな切り口のサイトが求められるようになってきています。
結果、かつては、様々なサイトが乱立していたものを CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)の導入によって1つのサイトにまとめたという流れを経て、目的や(自治体の)お客様に合わせて個別のサイトやネット上のメディアを使い分け・協同するという、新しいフェーズに入ってきました。このことは、自治体も企業の同じようにサイトやネットを利用した情報発信を求められるということに他なりません。
ここで一番重要になるのは、実は、「サイトを制作する」ことではなくて、マーケティングやPR(public relations)という立場で「何をどうするのか」をプランニングすることです。サイトの制作は入札という形で外部の業者を選定することはできても、この「何をどうするのか」をプランニングすることは自治体内部で準備する必要がありますので、自治体内部に担当できる人材を確保できるか、が大きな分かれ目となります。
(もちろんこのプランニングも外部に委託することはできますが、予算規模の小さい自治体ほどこれが難しくなるでしょう)
つまり、「戦略」→「構築プラン」→「制作」という全体の流れの中で、「戦略」「構築プラン」を担える人材が自治体内部に求めらる流れが強くなる一方で、内部では「何をどうしていいのか…」という状態になってしまっているのが現在の大きな課題だと言っていいかと思います。
このような状況の中で、今回は、「今のネット活用の全体像がどのようになっているのか」ということを中心に大きな枠組みをお話しさせていただきました。
例えば、
- ネットに掲載される情報を「フロー情報」、「ストック情報」、「固定情報」という3つに分け、それぞれがどんな特徴を持っているのか
- 同じ情報でも発信主体が変わることで情報の価値が変わる
- 鯖江市の「JK課」の紹介とその狙い
などについて、ご紹介させていただきました。
これらが、今後自治体にますます求められる情報発信のヒントになればうれしいです。
ご依頼があれば伺います。
ビーチューでは、今回と同じように他の自治体様でも、職員向け研修会等のご依頼があればうかがわさせていただきます。
ご興味ございましたらご連絡いただけますと幸いです。
次回をお楽しみに♪
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