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Be-Chu' s Perspective

 

 

シリーズ「小さい町の観光サイトの作り方」、第1話「小さい町ならではのメリット」に続いて、今回は第2話「考え方と戦略」です。

その前に少しだけ補足を…。
第1話から少し時間が経ちましたが、その間に私の状況も大きく変わりました。
それは、私が、観光庁認定の観光地域づくりマネージャーになり、「八ヶ岳観光圏」のメンバーとして、「観光圏」や「日本版DMO」と言われる真っただ中に私自身も直接関わることになったということです。
(これらについては、また別な場を設ける予定です)

 

第1話 小さい町ならではのメリット
第2話 小さい町の観光サイト 考え方と戦略
第3話 観光サイト 作り方のポイント
第4話 事例紹介
第5話 運用の考え方
第6話 今後の動き 日本版DMO との関係を考える
第7話 「都会の視線」と「地方の視線」

 

第2話 小さい町の観光サイト 考え方と戦略

 

ベースになる「2つのこと」(2つの考え)

観光サイトの構築や運用にあたり、ぜひ知っておきたい大切なことが2つあります。
これは、私が色々な自治体の方や観光に関わる方々に毎回お伝えしていること。しかも、言われてみればとても「当たり前」なことです。どんなことかと言うと...

 

  1. 小さい町・村のサイトの役割や考え方は、県や大きい市とは違うんです♪
  2. すでに僕たちは、強力なツールを手に入れているんですよ!


ということです。


小さい町の観光サイトの作り方 (2)小さい町の観光サイト 考え方と戦略(1)小さい町のサイトの役割や考え方は、都道府県や大きい市とは違う

観光サイト、別な言い方をすると「観光客集客のための情報発信」というと、都道府県レベルで行われる「観光客誘致キャンペーン」であったり、JRやJTBとタイアップした「ディスティネーションキャンペーン」などの「お金をかけた大々的な集客プロモーション」をイメージする方が多いかと思います。

ここ長野県でも大きなディスティネーションキャンペーンを実施していますし、「くまモン」や「うどん県」といったキャラクターやコピー、時には芸能人を使った「大々的な企画」による集客は、(当たれば)多くの方に知っていただけますし大きなインパクトがあります。

少しいやらしい表現になってしまいますが、これらのやり方は、予算をかけて大々的にメディアを利用して、「多くの人に知らしめる」手法とでも言いましょうか♪ これはこれで大切なことですし、予算があるからこそできる効果的な集客・誘致というものがあるのは確かです。
(企業で言うところの、大企業的な広告宣伝手法ですね♪)

 

一方で、第1話で話したように、小さい町にはそのような大々的な集客キャンペーンをする予算は基本的にありませんし、そうする必要はないと思っています。むしろ、「多くの人に知らしめる」という手法ではなく、「来ていただきたい人に、継続的に来ていただく」ということに軸足を置いた考え方が大切です。

サイトの役割の違いという視点で言えば、「キャラクターが踊る」というのは都道府県や大きなプロモーションにおまかせして(笑)、「来ていただきたい人が知りたいと思う、興味を持っていただけるような情報を丁寧に提供する」という、とても当たり前のことが一番重要になるというわけです。

ところがところが、実は、圧倒的に多くの観光サイトでこのことが全くなされていない…というのが現状なんです...(ーー;)。

例えば、ぜひ観光客に知っていただきたい花の名所があったとしても、「○○○公園はこの地域一番の花の名所で、○月~○月はツツジの花が見事に咲き誇ります」という短い文章と公園の写真1枚が掲載されているだけ…というのはよく見かけるパターン。知っている人に紹介するのではなく、「知らない人に知っていただき、興味を持っていただくのが観光の情報発信」なのですから、これではあまりにも不十分です…。

 

すみません、話が少しズレました。

ポイントはこういうことです。
小さい町の観光サイト(観光情報の発信)は、 都道府県が行う大々的な観光プロモーションのサイトとは役割が根本的に違います。

「来ていただきたい人が知りたいと思う情報を丁寧に提供し、継続的に来ていただけるようにする」、ということです。

 

(2)すでに僕たちは、「強力なツール」を手に入れている

 インターネットが普及する前、全国の方々に何かを知っていただきたいと思った時、どんな手法が利用されていたでしょうか。それは、テレビや新聞、雑誌、ラジオといった全国メディアを利用して、全国の人に向けて情報を発信するというやり方でした。

私が住んでいるこの小さな町(富士見町と言います)のことを、東京や埼玉県、または九州の人に知っていただくためには、その地域のメディアに広告を出すか、全国区のメディアに広告を出すか、そういうことが必要だったわけです。当然ですがカバーするエリアに比例した費用が必要で、言ってみれば、多額の費用を持っているところだけが全国に向けて情報を出すことができたのです。

ところが、インターネットが普及したことで状況が大きく変わりました。
全国に向けて(世界に向けて)情報を発信すること自体に費用がかからないのです。
私が発信しているこのブログも、皆さんが一生懸命管理している観光サイトも、全国どこからも見ることができるわけです。全国どころか、世界中から見ていただけるんです♪

皆さんが掲載したブログ記事、Facebookの情報、twitter やインスタグラムの投稿は、知り合いの人にも届きますが、地球の反対側にいる人にも届くんです。しかも、無料で!

 

言い方を変えるとこのように表現できますね。

かつては、大きい予算を持っているところしか全国に向けて情報発信することができなかったのに、今は、「規模に関係なく、誰でも全国・世界に向けて情報提供ができる」♪ d(^_^)


言われてみると当たり前なことです。
このことは、あちこちのセミナーで私がお話ししている一番大切なことなのですが、聞いた方のほとんどが「目から鱗」だとおっしゃります。このことを再認識すると、ネットの利用の仕方が大きく変わるんですよ♪
ちなみにセミナーでは、どうしてこんな当たり前のことを忘れてしまうのか…という理由も紹介しています。どうしてそんな当たり前のことを意識していないのか…と。それは「コミュニケーションの錯覚」があるからなんです…。

 

さて、ここでのポイントは、僕たちは、全国・世界に情報が届く「無料かつ強力なツール」を持っている、ということですね♪ d(^_^)

 

 

小さい町の観光サイト戦略

小さい町の観光サイトの作り方 (2)小さい町の観光サイト 考え方と戦略



■ 「知らしめる」と「見つけていただく」

小さい町の観光サイト(観光情報の発信)は、 都道府県が行う大々的な観光プロモーションのサイトとは役割が根本的に違い、「来ていただきたい人が知りたいと思う情報を丁寧に提供し、継続的に来ていただけるようにする」ことだとお話ししました。

このことを「戦略」という形で表現すると、次のように言うことが出来ます。

多くの人に「知らしめる」のではなく、「見つけていただく」
これです。あ~、言っちゃった...(ーー;)

 

どういうことかわかりますか…?

僕たちは日頃、わからないことがあったり、困ったことがあったりした時にはインターネットを利用して調べようとします。同じように、「今度の休みに行くのにいいところあるかなぁ…?」や「そういえば、友達があそこに行って楽しかったって言ってたなぁ…」と言いながら同じようにインターネットを利用して調べようとします。

そうした時に「こんな素敵なところがあって、こんな感動的な体験ができるよ!」と伝えることができたら素晴らしいことです。

そうなんです、実は、お客さんの方では「どこかいいところないかなぁ…」と一生懸命に探している一方で、観光に来ていただきたい場所は「こんなに素敵なところがあるんだよ!」と一生懸命に伝えようとしているんです。つまり、お互いにお互いを求めあっているというわけですね♪d(^_^)

でも悲しいことに、情報提供側が上手でないために、伝えたい情報が伝えたい人に届いていない…というのが現実なのです...(>_<)

 

もう少し具体的にお話しすると、こういうことです。

一般的な観光サイトの作り方の場合、「観光スポットの紹介」をしようとします。
例えば、「○○公園は、●●という施設と▲▲という設備があって、△△頃は桜の花が見頃になります」というイメージですね。

これはこれで、「○○公園」を紹介するには正しい紹介の仕方です。決して間違っていません。

でも、一方で、もう一つ「別な切り口」が必要になるんです。

どういうことかと言うと、僕たちは、「観光スポットの紹介」が想定している情報構造とは違う形で情報を探そうとしているのです。

例えば、キャンプをしたい人、バーベキューをしたい人、自然を体験しながらのトレッキングをしたい人、カヌー体験をしたい人、気軽な釣りをしたい人など、ある目的があってそれができる場所を探している人は、「その地域でその目的が実現できる場所はどこか」を探すとこになります。つまり、探す情報は「○○公園の紹介」ではなくて、例えば「キャンプができる場所」なのです。

調べた結果、「○○公園でキャンプができることがわかり、その○○公園が、××町にあったので、××町に行く」という、そういう流れになるんです。

「観光スポットの紹介」と情報構造が違うということ、わかりますか?

 小さい町の観光サイト戦略

図の左側が「観光スポットの紹介」の情報構造。
図の右側が「目的が実現できるところを探す」時の情報構造です。

もう少し図に加えると、このようになります。

小さい町の観光サイト戦略

左側の「観光スポットの紹介」では、まず「××町」があって、その中に「○○公園」があって、その公園ではこんなことができます、という流れ。

右側の「目的が実現できるところを探す」場合は、「カヌー体験」ができるとこを探していたら「○○公園」でできることがわかった。「○○公園」は「××町」にあるらしい。しかも、「○○公園」ではカヌー体験と一緒に「BBQ」もできるかも♪ という流れです。大切なことは、「○○公園」も「××町」も、最初は頭にないということです。結果として出てくる、ということですね。d(^_^)

そして、僕たちが「どこかいいところないかな…?」と探すとき、このような情報構造で探すということも、知っておかないといけないもう一つ大切なポイントです♪

 

■ 「見つけていただく」導線をどう作るのかがポイント

キャンプをしたい人はキャンプ場の情報を色々と探します。
カヌー体験をしたい人はカヌー体験ができる場所を色々と探します。

ということは、「○○公園ではキャンプができます」という事実だけではなく、「こんなに素敵なキャンプが楽しめるですよ♪」ということを紹介することが必要になりますし、「初心者でもこんなに楽しく・安全にカヌー体験ができるんですよ♪ しかも、お昼はBBQもできますよ。もちろん手ぶらでOKです♪」ということを紹介することが必要になります。

これ、施設紹介とは全然違う切り口の情報だということ、おわかりいただけますか?


さらに、「楽しむ目的」は人それぞれ。
たまたま「キャンプ」や「カヌー体験」で説明しましたが、風景写真かもしれませんし、トレッキングかもしれませんし、大絶景かもしれませんし、お花見かもしれません。様々な切り口ごとに紹介ができる(紹介し甲斐がある)…ということになります。


しかも、第1話で「小さい町だからこそできること」として、

  1. エリア内の情報を網羅できる
  2. 表面的な情報だけでなく、深いところまで知っている
  3. 伝えるべきことを「多角的」に伝えられる

の3つを紹介しました。まさにピッタリです♪


ところで、この「見つけていただく」という形、鋭い方でしたら2つのことに気づいていらっしゃると思います。

一つは、いわゆる SEO という領域とかぶってくるということ。
もう一つは、それぞれの専門サイト(例えば、キャンプ場サイト、カヌー体験ポータルサイト)というものともかかわってくるということです。

当然ですが、これらも情報発信戦略として視野に入れることになります。

小さい町や小さい会社の情報発信の戦略、特に、お金をかけたキャンペーンで「こっち向いて!」と注目を引く手法を取らない場合には、「こちらが出した情報を辿って近寄ってきていただく」という考え方が重要になります。つまり、探している方が見つけてくれるように「情報の導線を引く」ということです。d(^_^)

 

 小さい町だからできる

今回の話をまとめると....

  • 小さい町は、お金をかけたキャンペーンで「こっち向いて!」と注目を引く手法(知らしめる)ではなくて、「見つけてもらう」という戦略。

  • 観光スポットを紹介するのではなく、「情報を探している人の目線」での情報提供を考える。

  • 僕たちは、全国・世界に知ってもらえる強力なツールを手にしている。

ということです。

ところで、今回の話に、Facebookを使おう!とか、インスタグラムがオススメ♪とか、そういう話が一切出ていないことにお気づきかと思います。観光サイトや観光情報の提供というと、すぐにそっちの話に行ってしまうのですが、根本的に大切なところはそこではありません♪ 「どう認識され、どう取り扱われているのか」ということに沿って情報を提供することこそが大切で、その上で、土台となるサイトを構築し、情報を提供し、SNSに親和性の高い内容(コンテンツ)を設置し、ソーシャルメディアを運用していくという、全体の戦略を組み立てた上で展開していくことがポイントです。

次回、第3回は、観光サイトの作り方についてのお話です。


次回もお楽しみに!


 

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