今回は、情報をどう出すかではなく、会社やお店が外からどう見え、どう理解されるかを考える4本です。
- 大企業のTikTok事例から考える、中小企業のSNSの見せ方
- お客さんの気持ちが進む順番に、情報は並んでいるか
- AI検索時代、順位より「何の会社として知られているか」
- AIの「おすすめ」は、本当に中立なのか
大企業のTikTok事例から考える、中小企業のSNSの見せ方

【Qoo10×日本テレビ】TikTok活用の現在地。UGCを生む仕掛けと、現場が自走できる運用内製化(MarkeZine)
Qoo10と日本テレビのTikTok活用について紹介された記事です。
両者とも大企業ですから、まずは「大企業のSNSの舞台裏はこうなっているんだ~」という気軽な気持ちでご覧になっていただければと思います。
加えて、人数も予算もある大企業だから…ということとは違う、私たち地方・中小企業が持っていない「前提」にも気づいていただきたいと思います。
その「前提」とは、特に日本テレビのような事例では、そもそも発信する対象が、視聴者から見て「あっちの世界」にあるということです。だからこそ、この記事で指摘されているように「リアルタイム性」や「巻き込み力」が機能してくるのです。「あっちの世界」に、少しだけ自分も関われる。その感覚が、SNS上での反応や投稿につながっているのです。
一方で、私たち地方の中小企業は、多くの場合、お客様と同じ生活圏にあり、決して「あっちの世界」ではありません。大企業が前提にしている「あっちの世界」がそもそも存在していないのですから、「あっちの世界」を前提にしたSNS運用とは異なる運用を、私たち中小企業は行う必要があるのです。
この記事を読んで、「大企業は人数も予算もあるしな~」というのとは異なる、このことに気づけるかどうかがポイントです。大企業は「あっちの世界」が存在することを前提にしたSNS運用であるのに対して、私たちは、そもそも「あっちの世界」に相当するものを作るところからSNSを活用していく必要があるのです。
別な表現をすると、地方の中小企業に必要なのは、自分たちの仕事や現場を、外から見たときに、「へえ、そんな世界があるんだ」と思ってもらえる形にするということです。
工務店であれば、単に「施工中です」と投稿するのではなく、見えなくなる部分にどんな手間をかけているのかを見せる。製造業であれば、ただ機械や製品を見せるのではなく、一見同じに見えるもののどこに違いが出るのかを伝える。飲食店であれば、今日のメニューだけでなく、なぜその食材を選んでいるのか、どこで妥協していないのかを見せる。観光や地域の事業であれば、地元の人には当たり前でも、外の人には新鮮に見える風景や時間の流れを切り取る。
こうした発信は、派手な動画編集や大きなキャンペーンとは違いますが、でも、外から見た人にとっては、そこに初めて「見る価値」が生まれます。
中小企業のSNSは、大企業のように最初から「あっちの世界」を持っているわけではありません。だからこそ、日々の仕事の中にある考え方、こだわり、現場の工夫、人の表情、地域との関係を、外の人にも見える形に編集していく必要があるのです。
この記事は、大企業のTikTok活用事例として読むと、私たちには少し距離があるかもしれません。しかし、人が反応したくなる発信には、まず「見たくなる世界」が存在しているという視点で読むと、地方の中小企業にとっての大事なヒントが見えてきます。そんな視点でぜひご覧になってみてください。Check it!
お客さんの気持ちが進む順番に、情報は並んでいるか

順序の最適化で「体験やCVR」が変わる。GMV累計550億円のクラウドファンディング「READYFOR」想いの乗ったお金の流れを増やす5つのプロダクト改善施策。(アプリマーケティング研究所)
クラウドファンディングサービス「READYFOR」のプロダクト改善について紹介された記事です。たとえば、以前はログインしてからリターンを選ぶ流れだったものを、ログインしなくても先にリターンを選べるように変更するなど、ログインのタイミングや入力項目の順番、終了したプロジェクトページからの導線などを改善したことで、支援率や支援額、入力完了率が向上したと紹介されています。
ただ、私たち地方の中小企業がこの記事を読むときのポイントは、単に「ログインは後にした方がいい」とか「入力項目は少ない方がいい」ということではありません。
この記事を別な視点で見るとこういうことです。
- まだ支援するかどうか決まっていない人に、いきなりログインを求める。
- まだ返金が発生するかどうかもわからない段階で、銀行口座を入力してもらう。
- 支援したかった気持ちが残っているのに、終了ページで行き止まりになっている。
これは手続きとしては間違っていなくても、お客さんの「気持ちの流れ」とはズレてしまっている。このことがポイントなのです。
実は、中小企業のホームページやサービス紹介ページでも同じです。
- まだ何の会社か伝わっていないのに、いきなり「お問い合わせください」と言っていないか。
- まだ自分に関係あるサービスかどうかわからないのに、細かい仕様や実績ばかり見せていないか。
- 料金の考え方や依頼の流れがわからないまま、「まずはご相談ください」で終わっていないか。
- 興味を持ってくれた人が、次に何を見ればいいのかわからない状態になっていないか。
会社側は、伝えたい情報を順番に並べているつもりでも、お客さん側の気持ちは、必ずしもその順番では動いているわけではありません。お客さん側はむしろ、まず「自分に関係あるのか」を知りたい。次に「何をしてくれるのか」「どんな流れなのか」「費用はどれくらいなのか」を知りたい。そのうえで「この会社は信頼できそうか」を確認したい。例えばそのように流れていきます。その順番が合っていないと、せっかく情報を出していても、お客様は途中で気持ちが止まってしまいます。
この記事は、そのような「お客様には気持ちの順番がある」ということを改めて認識させてくれます。そんな視点でぜひご覧になってみてください。Check it!
AI検索時代、順位より「何の会社として知られているか」

SEO’s new goal in 2026: Recognition, not rankings(Search Engine Land)
検索順位ではなく、「認識されること」がこれからの目標になる、という内容の記事です。
これまでSEOというと、検索結果で何位に表示されるかが大きな指標でした。もちろん、今でも上位表示は大切です。しかし、AI OverviewsやChatGPT、Perplexity、ClaudeのようなAI/LLMサービスが広がることで、検索結果の上に表示されることと、お客様の意思決定の中に入ることが、必ずしも同じではなくなってきていることが指摘されています。
記事では、これから重要になるのは「認識されること」だと説明されています。たとえば、検索結果で1位を取っていたとしても、お客様がAIに「この分野で検討すべき会社は?」と聞いたときに名前が出てこなければ、AI検索の世界では見えていないのと同じです。逆に、自社サイトだけでなく、業界メディア、口コミ、レビュー、SNS、外部の記事などの中で一貫して語られていれば、AIにも「この分野の会社」として認識されやすくなります。
これは、地方の中小企業にとっても、とても大事な視点です。
たとえば、地域の工務店であれば、単に「工務店」としてではなく、「断熱に強い会社」「古民家改修に強い会社」「小さな修繕にも丁寧に対応してくれる会社」として知られているか。
飲食店であれば、単に「ランチのお店」ではなく、「地元食材を大切にしているお店」「家族連れが安心して行けるお店」「観光で来た人に地域らしさを伝えられるお店」として伝わっているか。
製造業であれば、単に「加工会社」ではなく、「難しい小ロット対応に強い会社」「品質管理に強い会社」「設計段階から相談できる会社」として認識されているか。
こうした違いが、これからの見つけられ方や選ばれ方に関わってくるということなのですから。
記事では、そのために、自社が何者なのか、何をしているのか、誰に向いているのか、どう違うのかを一貫して伝えることが重要だと説明されています。自社サイト、Googleビジネスプロフィール、SNS、レビュー、外部メディアなどで説明がバラバラだと、人間にとってもAIにとっても、その会社が何者なのかがわかりにくくなるとのこと。これは、小手先のAI対策というより、会社としての基本情報をきちんと整えることに近いとも言えます。
AI検索時代に、自社が何の会社として知られているかを見直すきっかけとして読むと、とても参考になります。英語の記事ですので、翻訳機能を利用してご覧ください。Check it!
AIの「おすすめ」は、本当に中立なのか

「AIチャットボットの中に広告やスポンサー商品が入ったとき、AIは本当にユーザーにとって一番よい選択肢をすすめるのか」そんな問題を扱った研究論文です。
論文では、AIアシスタントが航空券の予約や商品の購入、学習支援、ローンの相談などを行う場面を想定し、ユーザーにとってよい選択肢と、AIを提供する企業にとって収益につながる選択肢が食い違ったとき、AIがどちらを優先するのかを調べています。その結果、たとえば、ユーザーにとっては安い航空券の方がよいのに、AIを提供する会社に手数料が入るスポンサー航空券の方をすすめたり、ユーザーがすでに特定の商品を買いたいと言っているのに、途中でスポンサー商品を割り込ませたり、さらに、その商品がスポンサーであることをはっきり伝えないなど、そうしたケースがあることがわかってきました。
これまで広告というと、検索結果やSNSの中に「広告」と表示されるものをイメージしやすかったと思います。しかし、AIアシスタントの場合は少し違います。
AIとの会話の中で、「こちらがおすすめです」「この会社が合っていると思います」と言われると、私たちはそれを広告ではなく、AIによる中立的な助言のように受け取ってしまいます。AIの回答の中に「シレッ」と広告やスポンサー商品が入ってきていたとしても、私たちはそれを見抜くことはできないのです。ここに、この論文が指摘している大きな問題があります。
このことは、これから先、しかも確実に私たちが直面する内容です。地方の中小企業にとっても、これは無関係な話ではありません。
そのため、私たちは3つのことを考えなくてはいけません。
まず第1に、AIを利用する側として、その「回答」や「おすすめ」はAIによる中立的なものなのか、それともスポンサーであることが隠した形での回答なのか…を意識しながら見る必要があるということです。恐らく、見抜くことは無理だと思います...
第2に、中小企業側としての視点です。このようなことが起こるとすれば、お客様は、AIの回答に対して、そのおすすめを自身で検証するという行為が起こる可能性があります。その時に、おすすめのポイントをお客様が検証できるように、自社の情報をきちんと整えておくことが大切になります。
そして第3に(これは第2とも関係しますが)、お客様が検証するかどうかに関わらず、「自社は何をしている会社なのか」「誰に向いているのか」「どんな実績があるのか」「料金やサービス内容はわかりやすいか」などをしっかりと発信しておく必要があるということです。それは、AIの時代には「おすすめされること」そのものが強い力を持つことになるからです。
論文自体を読むのは大変かもしれませんので、AIで概要をご覧になってみてください。「AIはビジネスなのだから、確かにそうなるよね…」と感じると思います。そしてこの景色は、今の私たちがいるさらに一歩先に待ち受けている世界だということをぜひご理解していただければと思います。Check it!
地方・中小企業にとっての読みどころ
今回の4本を通して感じるのは、情報発信は、単に「出す」だけでは足りなくなってきているということです。
SNSであれば、自分たちの仕事や現場を、外から見たときに「へえ、そんな世界があるんだ」と思ってもらえる形にすること。ホームページやサービス紹介であれば、お客様の気持ちが進む順番に、情報を並べること。そしてAI検索の時代には、自社が「何の会社として知られているか」を、きちんと言葉にしておくこと。共通しているのは、会社側の都合ではなく、外からどう見えるか、どう理解されるかという視点です。
AIやSNSの仕組みが変わっても、最後に問われるのは、自分たちは何者で、誰の役に立ち、なぜ選ばれるのかという基本的なことです。その基本を、言葉にし、見える形にし、お客様が納得できる順番で届けていくこと。地方・中小企業にとって、これからの情報発信は、ますますそこが大切になっていくのだと思います。
次回をお楽しみに!
この記事の内容は、ポッドキャストでもわかりやすく解説しています。
通勤や作業の合間に、耳で聴いて理解を整理したい方におすすめです。ぜひ合わせてどうぞ♪
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情報発信を見直すきっかけに
この記事を読んで「うちの情報発信もそろそろ見直す時期かも」と感じた方へ
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